温度履歴は物の品質管理でも重要

温度履歴とは、例えば細い針金の長さを測りながらある温度まで昇温して、その後降温したときの温度をグラフに描いてみると昇温した過程と降温した過程では同じグラフなります。針金の長さはそのときの温度のみで決定されていてかつて温度が高かったときや低かったときの記録は残っていません。このときの針金の長さには温度履歴はないといいます。鉄片の磁気の強さは加える磁場の強さ以外にも過去に与えた磁場の強さの記憶が残りますが、磁場の強さは磁場の強さの履歴があるといいます。

その物質の性質が現在の環境以外に過去に受けた環境の履歴を示すときには、その環境の履歴を持つといいます。物質の内部で環境の効果が遅れて生じる場合の現象で、履歴を研究することでその物質内部で生じている現象を詳しく調査することが出来ます。例えば、温度履歴は食品関連ではとても重要になります。食品を保管したり輸送するときには温度管理は欠かせないことです。

例えば冷凍食品や冷蔵の食品だと保管や輸送をしている間に温度が高くなってしまうと品質が急に劣化したり、形状が崩れたりします。そこで、温度履歴がわかる機器などを使って一定の温度を保ちながら保管や輸送などを行います。温度履歴を確認する方法は色々ありますが専門の計測器を使うために一定の知識が必要だったり、コストが高かったりと普及していても限定的でした。最近は単価が安くて製品やダンボール箱などに貼り付けて使えるものも販売されています。

例えばある製品だと水と油のように本来混じりあわない2つの物質を、安定的に混濁させたエマルションを応用したものを使って温度の履歴がわかるようになっているものもあります。

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